~~ イメージクリエーションの知恵袋 (TIC Tips) ~~

<<専門技術・学術研究・大学履修関連>>

  このコーナーは、読者の皆さんとのコミュニケーションの場として使用します。

 

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[ベーシックナレッジ]

・写真学概論

 カラーマネージメントシステム(CMS)は、特に専門の学問はなく、図に示すような様々な分野の学問から成り立っている。特に、色彩工学、色再現工学、画像工学、医学(眼科)、脳科学などはCMSを構築する非常に重要な学問である。ここで注意すべきことは、単なるカラーマネージメントと区別して扱うことが大切であるという点である。

また、写真や映画などの映像に関する問題が発生した場合に、やみくもにレッタチソフトを用いて力業だけでやるのではなく、簡単な科学理論(物理、化学、医学など)や基礎知識を覚え、それを適用することによって、より迅速に、より精確にその問題を解決できるようになる。 

               LUTの適用方法
               LUTの適用方法

・CMSの適用

 CMSとは、デジタルカメラ、スキャナ、モニタ、プリンタなどの異なるデバイス間の色を統一的に管理するシステムのことで、一般的にICC(インターナショナル・カラー・コンソーシアム、International Color Consortium)の規定に準拠したファイルを使用したシステムを指している。

 実際に、カラーマネージメントを行う場合には、元画像からプリントアウトするまでのプロセスにおいて、共通した色空間で画像変換という作業を行う必要がある。 これは、目標機器と再現機器のプロファイル(データはLUTの形)及び色再現用のマッピング方法を記載した推定ファイルの各測定値やユーザー側で裁量推定した情報が送信される。 この情報を基に3DRGBなど)または4DCMYKなど)の実数値型LUTが付加され、それぞれの機器(デバイス)のユーティリティを使用できるように、当該の機器(デバイス)へ組み込まれている。

 

[テクニカルナレッジ]

・トータルイメージクリエーションの基本概念

 これまでカラーマネージメントシステム(CMS)が主流の世界であったが、もはやCMSだけではあらゆる問題を解決することができなくなりつつある。そこで最近になって提唱されたのが、イメージクリエーションという考え方である。これは、CMSが管理できる範囲を大幅に拡張して、撮影から出力に至る全てのハード/ソフトを統一的・共通的に扱うことによって、トータルなイメージクリエーション(TICのこと)、つまり「画像の創造」という概念を適用し、所期の目的が達成できる作品作りを実現することにある。

すなわち、「管理から創造へ」転換することで、これまで困難だった「色再現性」をより確実にするための手法である。これによって、色の表現がこれまで以上に高精細、高画質を追求することが可能となったのである。

   下図に示すように、TICとは、トータルイメージクリエーション(Total Image Creationの略)を指し、カラーマネージメントを行う際に適用されるワークフローの範囲が、従来のCMSを凌駕した広い意味を含んでいる。従って、TICを行えば撮影からプリント出力に至る全てのプロセスで必要となるノウハウやテクニックを駆使できるので、目的とする「美しいコンテンツ創り」(ファインデータの作成と思い通りの作品創り)が可能となる。

                CMSのシステム概念
                CMSのシステム概念

・色再現の基礎概念 

 この色再現では、均等色空間で合致させることがポイントとなる。

つまり、カラーマネージメントを行う際に重要なことは、共通の均等色空間で統一されなければならないことである。通常、カラーマネーマネジメントシステムが適用される範囲は、図に示すように、画像入力から画像出力までである。しかしながら、この範囲に限定してしまうと、結果が目標色と期待色・記憶色を含む再現色が合致せず、トラブル発生の原因になることが頻繁に起こってしまう。従って、理想的には、入力デバイスから出力デバイス間の色再現性が途中のプロセスにおいて何ら修正なしに一致することである。

 しかし、カラーの一致は簡単にできることではない。従って、色再現性を確実なものにするためには、入力デバイスと出力デバイスのキャリブレーションを行う照明光源を使用する場合は分光特性の良い、演色性あるものを使用する基本的なCMSを順守する(共通色空間で統一、ICCプロファイルの導入、適正なレンダリングインテントの採用、ガンマ特性など機器特性の合わせこみ)、④コンテンツを創る全てのプロセスを一元的・統一的に管理する、などを確実に実行することである。

[注]モニタに表示された画像は、キャリブレーションツールなどで色や輝度などの調整をしても、画像データには反映されないことに注意する必要がある。モニタを使用する上で重要なことは目標画像を見る時、正しくキャリブレーションされた状態でなければ、真の画像(原画像に限りなく近い)を見たことにはならないので、正しく合わせ込む必要がある。

                    色再現の概念
                    色再現の概念

・色再現システムと色差の関係

   色再現を限りなく原画に近づけるためには、入力画像と出力画像の色差を出来るだけ小さくする(ΔE=0が理想) ことである。

  図示したように入力画像のRGBデータを色補正などの画像修正によって 出力画像のRGBデータに変換した場合、各色の三刺激値の差が小さく、かつ、ΔEがゼロ(0)に近ければその画像の色再現はほぼ完全に行われたことになる。

   つまり、色再現で重要なことは、例え異なった色空間(例:RGB→CMYK) 同士の色変換であってもその結果は、十分に保証されたものになると考えることができる。

                 色再現の実際
                 色再現の実際

   ここで、実際にどのようにして色再現を図るかを検証してみる。

図は、マクベスカラーチャートを使った色再現の実例である。

画像に組み込まれたマクベスカラーチャートを撮影し、そのデータともとのデータを比較する。

その時、それぞれのカラーパッチの 色票値を比較して、色差が許容範囲から外れている色に着目してその色を原画の値に近づける。

通常、トーンカーブを使って色の微調整ができるので、 この方法が便利でより精確な調整ができる。

このようにして色調整を行えば、原画と調整後の画像が近似した色となるので、色再現性は良くなる。

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